アトピーの治療薬

アトピー治療薬とは
アトピー性皮膚炎の治療薬には、主に外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、注射剤、保湿剤の4種類があります。それぞれ、症状に合わせて治療薬を選択する事がとても大切です。本日はアトピーの治療薬についてご紹介致します。
①外用薬(塗り薬)
外用薬には「ステロイド外用薬」と「免疫抑制外用薬」の2種類があります。
どちらも過剰な免疫反応を抑えます。
1-1ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は免疫反応を抑える働きがあります。
「ステロイド外用薬は怖い」と考えて、「なるべく少なく、短い間だけ使おう」と考える人もいるかもしれませんが、中途半端に使うとかえって症状を悪化させたり長引かせたりすることがあります。医師に処方されたステロイド外用薬は、指示通りに、必要な量を必要な期間、必要な部位に使い続けることが大切です。
ステロイドにはたくさんの種類があり、効果の強弱によって5つのランクに分類されています。
1. 弱い(weak):プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン酢酸エステルなど
2. 普通(medium):プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど
3. 強い(strong):ベタメタゾン吉草酸エステルなど
4. とても強い(very strong):モメタゾンフランカルボン酸エステルなど
5. 最も強い(strongest):クロベタゾールプロピオン酸エステルなど
とても強い(very strong)」と「最も強い(strongest)」に分類されるステロイド外用薬は、その取り扱いに医師や薬剤師など専門家の管理が必要であるため、医療用医薬品(医師の診察を経て処方されるお薬)としてのみ用いられています。
一方、ドラッグストアなどで購入できる市販のステロイド外用薬(OTC医薬品)は、弱いほうから3ランク(「弱い(weak)」「普通(medium)」「強い(strong)」)に属する成分のものに限られています。市販のステロイド外用薬を購入する際には、店頭の薬剤師や登録販売者に相談しアドバイスを受けることで、部位や症状に合った適切なお薬を選びましょう。
1-2免疫抑制外用薬
名前の通り、体の免疫反応を抑える働きがあります。ステロイド外用薬を長期間使い続けることによる副作用が不安な場合や、ステロイド外用薬で効果が不十分(湿疹が治らない、かゆみが残るなど)と感じる場合、またステロイド外用薬である程度炎症が落ち着いた場合などに使われます。
②内服薬(飲み薬)
2-1抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬
皮膚をかくと皮膚が傷つき症状が悪化するため、かゆみ止めとして、また症状を悪化させない予防的な意味からも、これらの飲み薬を使うことがあります。これらの飲み薬は、鼻炎、花粉症、じんましんなどにも使われています。
2-2ステロイドの飲み薬
塗り薬で抑えられないほど重症化した場合は、免疫反応を強力に抑えるためにステロイドの塗り薬ではなく、「飲み薬」を一定期間使うことがあります。この薬剤は、医師に指示された飲み方や量、期間を必ず守る必要があります。自己判断で服用を途中でやめたり量を減らしたりすると、思わぬ副作用や症状の悪化をまねくことがあります。ただし、長期間漫然と飲み続けることは好ましくありません。
2-3免疫抑制薬の飲み薬
この飲み薬を使えるのは、これまでの治療で十分な効果が得られず、強い炎症を伴う湿疹が広範囲に生じている16歳以上の患者さんです。最大3カ月まで続けることができますが、そこでいったん休薬する必要があります。また服用中は、血圧が上昇や腎臓の機能が低下することがあるので注意が必要です。
③注射剤
アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす原因と考えられているIL(インターロイキン)-4とIL-13の過剰な働きを抑える注射剤です。この注射剤を投与できるのは、今までの治療で十分な効果が得られず、全身の広範囲に強い炎症を伴う湿疹がある成人の患者さんです。また、この注射剤で治療するときには、ステロイド外用薬や免疫抑制外用薬を用いた外用薬治療を一緒に行う必要があります。
④保湿剤
皮膚の乾燥は症状を悪化させたり治りにくくさせたりするので、アトピー性皮膚炎の人は保湿剤でうるおいを保つことが大切です。水分やセラミドを補うもの、油分で皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐものなど、いくつかのタイプがあります。剤形にもクリーム、ローション、軟膏などがあり、保湿効果や使用感が異なります。医師と一緒にあなたの皮膚に合ったものを選んでください。
■まとめ
アトピー性皮膚炎の治療薬である外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、注射剤、保湿剤の4種類があります。アトピー性皮膚炎は慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。治療薬は多くの種類がありますが、効果が強くなれば強くなるほど、副作用や薬剤の蓄積性が考えられます。残念ながらアトピー性皮膚炎に根治が望める薬剤はありません。あくまで対処療法になります。
平穏無事な日常生活を送るために、医師や薬剤師と相談し適切な用法、用量を守って使用する事がとても大切です。